女性の歌

百人一首には女性の歌が下記の21首あります。

02 春すぎて夏来にけらし白妙の 衣ほすてふ天の香具山         持統天皇
09 花の色はうつりにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに  小野小町
19 難波潟みじかき芦のふしの間も 逢はでこの世をすぐしてよとや    伊勢
38 わすらるる身をば思わず誓ひてし 人のいのちの惜しくもあるかな   右近
53 なげきつつひとりぬる夜の明くるまは いかに久しきものとかは知る  右大将道綱母

54 わすれじの行末まではかたければ 今日をかぎりの命ともがな     儀同三司母
56 あらざらむこの世のほかの思ひ出に いまひとたびの逢ふこともがな  和泉式部
57 めぐりあひて見しやそれとも分かぬまに 雲がくれにし夜半の月かな  紫式部
58 有馬山猪名の笹原風吹けば いでそよ人を忘れやはする        大弐三位
59 やすらはで寝なましものを小夜更けて かたぶくまでの月を見しかな  赤染衛門

60 大江山いく野の道の遠ければ まだふみも見ず天の橋立        小式部内侍
61 いにしへの奈良の都の八重桜 けふ九重ににほひぬるかな       伊勢大輔
62 夜をこめて鳥の空音ははかるとも よに逢坂の関はゆるさじ      清少納言
65 恨みわびほさぬ袖だにあるものを 恋にくちなむ名こそ惜しけれ    相模
67 春の夜の夢ばかりなる手枕に かひなく立たむ名こそ惜しけれ     周防内侍

72 音に聞く高師の浜のあだ波は かけじや袖の濡れもこそすれ      祐子内親王家紀伊
80 長からむ心も知らず黒髪の みだれて今朝はものをこそ思へ      待賢門院堀河
88 難波江の芦のかりねのひとよゆゑ みをつくしてや恋ひわたるべき   皇嘉門院別当
89 玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば 忍ることの弱りもぞする     式子内親王
90 見せばやな雄島のあまの袖だにも 濡れにぞ濡れし色はかはらず    慇富門院大輔

92 わが袖は潮干に見えぬ沖の石の 人こそ知らね乾くまもなし      二条院讃岐


この内、終わった恋も含めて、相手を思っての歌(恋の歌)と思われるのは、
19、38、53、54、56、58、59、62、65、67、72、80、88、89、90、92。
なんと、21首中 16首。 
女性の歌の約8割が 色恋に絡む歌のようです。

百人一首自体、百首中43首と 恋の歌が多いのですが、その内の約4割が女性の歌。
全体の2割の歌(女性歌)が、恋の歌の4割を占めている。
もちろん全ては、定家の選択によるのですけど。


♪女ひとり   デユークエイセス

歌詞

「女ひとり」の3番の「滝の音」は、55番 大納言公任の歌
滝の音はたえて久しくなりぬれど 名こそ流れてなほ聞えけれ
で歌われている「滝の音」のことです。
永六輔さんは、「ちびまるこ」シリーズまんが本の 百人一首本で
「はしがき」を書いておられますし 百人一首に造詣が深いのだろうと思われます。
この滝は、嵯峨嵐山の 大覚寺 にあります。


■嵯峨嵐山大覚寺   by Google マップ




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恨み、恨めし

「恨」が使われている歌は、次の3首です。 

44  逢ふことの絶えてしなくはなかなかに 人をも身をも恨みざらまし   中納言朝忠
52  明けぬれば暮るるものとは知りながら なほ恨めしき朝ぼらけかな  藤原道信朝臣
65  恨みわびほさぬ袖だにあるものを 恋にくちなむ名こそ惜しけれ    相模



「恨」という「字」、
印象としてはもっとあると言った感じですが、
3首だけです。

ただ、この3首で歌われている「恨」 は、
怨念とか 恨み辛みの恨みではないので、
何となく可愛い(愛おしい)。 

3首とも恋に絡む歌。
男性、2首。女性、1首。
 
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名こそ (流れて、惜しけれ)

「名こそ」が使われている歌は、次の3首です。 

55  滝の音は たえて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞えけれ    大納言公任
65  恨みわび ほさぬ袖だに あるものを 恋にくちなむ 名こそ惜しけれ   相模
67  春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ   周防内侍


「名こそ」と来れば、
京都嵯峨野の大覚寺「名古曽の滝」の、
55番の公任(大納言公任・藤原公任)さん。

なのですが…、「名こそ惜しけれ」も2首あります。
60番台の女性二人。
65番 相模 &
67番 周防内侍。
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かなし

「かなし」が登場する歌は次の、3首です。

05 奥山に紅葉ふみわけ鳴く鹿の 声きくときぞ秋はかなしき        猿丸太夫
23 月見ればちぢにものこそ悲しけれ わが身一つの秋にはあらねど   大江千里
93 世の中は常にもがもな渚こく あまの小舟の綱手かなしも       鎌倉右大臣


93番の「かなし」は次のような意味合いを持ちます。
心を揺り動かされるような痛切な感情。
悲哀だけの意味には限定されない。
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てふ

「てふ」が登場する歌は次の、2首です。

02 春すぎて夏来にけらし白妙の 衣ほすてふ天の香具山         持統天皇
41 恋すてふわが名はまだき立ちにけり 人しれずこそ思ひそめしか   壬生忠見


この「てふ」、読みは「ちょ」、を私は余り好きではありません。
何か、この耳馴染みのない「ちょ」と言う響きに攪乱されて、
歌のイメージを膨らませることが拘束されてしまいます。

例えば、「歌合わせ」で
41番と競り合って、
41番より評価が優ったと云われている歌が、
40番です。

40 忍ぶれど色にいでにけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで   平兼盛

この40番歌は、百人一首を ただ感覚的に好きな者の一人(私)として、
とても分かりやすく親しみやすいです。
情景が沸々と湧いてきて、凄く共感できる歌です。
時間を超越した、人の心の普遍性を感じさせます。

当時は、「てふ」(ちょ)という言葉を使って歌う事は、ごく自然だったのでしょうが…。


持統天皇(2番)は、天智天皇(1番)の娘。
平兼盛(40番)は、赤染衛門(59番)の父。
壬生忠見(41番)は、任生忠岑(30番)の息子。この壬生親子は共に、三十六歌仙の一員。
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