百人一首を覚える ありまやま 58.大弐三位

■小倉百人一首 58番歌                                        百首一覧

ありま山ゐなの笹原風吹けば いでそよ人を忘れやはする   大弐三位

・かな表示
ありまやま ゐなのささはら かぜふけば いでそよひとを わすれやはする
・読み
ありまやま いなのささはら かぜふけば いでそよひとを わすれやはする
・歌人名
だいにのさんみ


■意味
有馬山に近い猪名の笹原に風が吹くと、そよそよと音がします。
そう、それです。風になびく笹のように頼りないのは貴方の心ですよ。
どうして私が、貴方の事を忘れたりするでしょう。
忘れたりしませんよ。


■解説
ありま山 … 有馬山・有馬温泉。
      六甲山の裏側(北側)にある 温泉の沢山ある山地・温泉保養地。
      六甲連山は 神戸市街地に対し 東西に屏風のように連なる山。
      神戸市街地は東西に長いが、
      神戸市の実際エリアは、北に西にかなり広がっている。
ゐな   … 猪名。猪名川に沿った平地。
      有馬と猪名は同じ場所ではないけれど、
      万葉の時代には、ペアとして一緒に読まれることが多かった。
      有馬は、いまの有馬温泉のあたり、
      猪名の笹原は、いまの大阪空港あたり でしょうか。
いでそよ … 「いで」は 感動・決意・反発、などを感じたときに発する語。
      「そよ」は「それよそれなのよ」の意味。


淀川、猪名川、武庫川 について。
淀川  … 桂川、宇治川、木津川が「淀」(京都市伏見区)あたりで合流し、
     大阪湾に流れる河。
     ・桂川は嵐山を流れている川で京都市南部で鴨川が合流してくる。
       関連歌例 ⇒ 26. 小倉山みねの紅葉ば心あらば・・・
     ・宇治川は主水源を琵琶湖とする川
      滋賀県では瀬田川 → 京都府では宇治川
       関連歌例 ⇒ 64. あさぼらけ宇治の川霧たえだえに・・・
     ・木津川は奈良県を水源とする川
       関連歌例 ⇒ 27. みかの原わきて流るるいづみ川・・・
猪名川 … 大阪空港の北側山地から大阪空港あたりを流れ、神崎川に合流。
     神崎川の支流。神崎川は淀川と武庫川の間にある河。大阪湾に流れる河。
武庫川 … 有馬を含む六甲山北東地域や宝塚北部域 の流れを支流とし、
     六甲連山の東端から大阪湾に流れる河。





大弐三位(だいにのさんみ、999?〜1082? 、生没年差 83? )
 平安時代中期の人。_ 
 中期を 930〜1060年 の 130余年間として。 (平安時代は 794〜1192年 の 約400年間)_

中納言兼輔(27番)の 玄孫。 藤原雅正のひ孫。 藤原為時の孫。
紫式部  (57番)の 娘。

上下4代の続柄名
高祖父(母)、曾祖父(母)、祖父(母)、親、本人、子、孫、曽孫、玄孫

母に続いて、66代 一条天皇(在位:986〜1011、年差25年)の中宮、彰子に仕える。
その後、後冷泉天皇の乳母(めのと)となった。
後冷泉天皇…70代天皇(在位、1045〜1068、年差 23年)

56番 和泉式部 〜 62番 清少納言まで、
66代 一条天皇 の「皇后 藤原定子」&「中宮 藤原彰子」に使えた女官が続きます。

56 あらざらむこの世のほかの思ひ出に いまひとたびの逢ふこともがな  和泉式部
57 めぐりあひて見しやそれとも分かぬまに 雲がくれにし夜半の月かな  紫式部
58 ありま山ゐなの笹原風吹けば いでそよ人を忘れやはする       大弐三位
59 やすらはで寝なましものを小夜更けて かたぶくまでの月を見しかな  赤染衛門
60 大江山いく野の道の遠ければ まだふみも見ず天の橋立        小式部内侍
61 いにしへの奈良の都の八重桜 けふ九重ににほひぬるかな       伊勢大輔
62 夜をこめて鳥の空音ははかるとも よに逢坂の関はゆるさじ      清少納言

この7人だけを見てみても人物関係が面白いです。
和泉式部と小式部内侍は親娘。 (大江家系)
紫式部と大弐三位も親娘。    (藤原北家系)
赤染衛門は、40.平兼盛が「わたしの娘だ!」と主張した その娘さん。(大江家に嫁ぐ)
伊勢大輔は、49.大中臣能宣朝臣の孫。
清少納言は、42.清原元輔の娘。&36.清原深養父のひ孫。

彰子は、藤原道長の長女。(道長は、藤原兼家の五男)  56.和泉式部〜61.伊勢大輔まで
定子は、藤原道隆の長女。(道隆は、藤原兼家の長男)  62.清少納言のみ

百人一首にからむ、藤原北家系 ・ 大江系 ・ 清原系 の系図・系譜
    

27.中納言兼輔
57.紫式部
58.大弐三位
この三人の系譜は次のようになる。
兼輔(27番) → 雅正 → 為時 → 紫式部(57番) → 大弐三位(58番)



■小倉百人一首が より一層 おもしろくなる ミニ知識

1.小倉百人一首の時代背景・歴史背景、 藤原家系&冷泉家について

2.小倉百人一首 百歌人の 氏・家 系統 分類、 血統つながり
 (概略:多い順並び)
01. 藤原   34人 (筆頭、18番 藤原敏行朝臣)
02. 源    13人 (筆頭、14番 川原左大臣)
03. 皇族   10人 (筆頭、01番 天智天皇)
04. 大江    6人 (筆頭、23番 大江千里)
05. 清原    3人 (筆頭、36番 清原深養父)

06. 小野    2人 (筆頭、09番 小野小町)
07. 良岑    2人 (筆頭、12番 僧正遍昭)
08. 在原    2人 (筆頭、16番 中納言行平)
09. 文屋    2人 (筆頭、22番 文屋康秀)
10. 壬生    2人 (筆頭、30番 壬生忠岑)
11. 紀     2人 (筆頭、33番 紀友則)
12. 平     2人 (筆頭、40番 平兼盛)
13. 大中臣   2人 (筆頭、49番 大中臣能宣)

14. その他  18人 (筆頭、03番 柿本人麻呂)


[その他]グループの歌人は、
「百人一首歌人の中には 同族系統の人 は居ない」 と思われる歌人です。
 
posted by 百人一首散策人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 百人一首を1日1首覚える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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