百人一首を覚える ひとはいさ 35.紀貫之

■小倉百人一首 35番歌                                        百首一覧

人はいさ心も知らずふるさとは 花ぞ昔の香に匂ひける   紀貫之

・かな表示
ひとはいさ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににほひける
・読み
ひとはいさ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににおいける
・歌人名
きのつらゆき


■意味
貴方はどうなのでしょうかねぇ。
心変わりしておられるかどうか、私には分かりません。
でも 昔なじみのこの里では、
梅の花が昔と変わらずに よい香りを漂わせ咲いてますよ。


■解説
人  … 一般の人ではなく、ここでは特定の人をさす。  
いさ … さぁ、どうだか・・・


この歌の背景:
貫之には「初瀬」の長谷寺へお詣りするたびに泊まる家があった。
昔馴染みの女の家。
暫く振りにその家を訪れたところ、女は
「あらっ、お久しぶり。
 お宿はこの通り 昔のままですのに、貴方はちっとも寄って下さらなかったですね。
 私の事なんか もう 忘れてしまったのでしょうねっ。」
と おかんむりの様子。
そこで 貫之は、その辺りに咲いていた梅の花を折って この歌を詠んだ。

実際には、この家の主が男か女か明らかではないようです。
しかし、昔馴染みの女とした方が面白いですね。

平安時代には、初瀬詣 が盛んで 貫之も盛んにお詣りしたらしい。
久しく足が遠のいていた女の事を思い出し、
寄ってみたら 拗ねて嫌味を言われた。
そこで、それを逆手にとって歌で返した とイメージすると面白いです。

ご無沙汰だったスナックにしばらくぶりに行くと、
ママが「あらっ、転勤なさったのかと思ってたのに」。
男が「この店はいつも良い香りがするねぇ。落ちつくよ」。
というシーンをダブらせてしまう私です。

「初瀬」 奈良県櫻井市初瀬 長谷寺


”心も知らず” という表現は、百首中 2首で歌われています。
35番 紀貫之     「ひとはいさ 心も知らず ・・・
80番 待賢門院堀河  「ながからむ 心も知らず ・・・

ともに上の句です。( 五七五 七七 の第2句 )

とすると・・・、
この2首は、林直道氏の唱える「歌織物説」での「配置図」
「近所に配置されてるかも」と思ったのですが、左右の両端に離れてました。  残念 ( ┰_┰) シクシク
35番 紀貫之     右端の上から4番目
80番 待賢門院堀河  左端の上から3番目


私の、35番歌 「 マッチングYouTube 」 ⇒ 小林旭 「 昔の名前で出ています 」 。



紀貫之(きのつらゆき、866?、872?〜945、生没年差 79?、73? )
 平安時代前&中期の人。_ 
 前期を 794〜930年 の 130余年間として。 (平安時代は 794〜1192年 の 約400年間)_

紀友則(33番)の従兄弟。
当代一の歌人で、『古今集』の代表的選者。
土佐守に任ぜられて『土佐日記』を著した。

60代 醍醐天皇 の命により初の勅撰和歌集『古今和歌集』を
凡河内躬恒、壬生忠岑、紀友則と共に編纂した。
『古今和歌集』の序文は、仮名によって次のように書かれた。 (仮名序)
「和歌は、人の心を種として、万の言の葉とぞなれりける。」
これは、後代に大きな影響を与えた。
発見!
『万葉集』 の 「万葉」 は、こういう意味合いを持って居たんですねぇ。

紀貫之は、
三十六歌仙のひとり。 (百人一首の歌番号順で18番目)

六歌仙 & 三十六歌仙 の整理  (図 クリックで、オリジナル資料 表示します)  

このブログ中の記事は ⇒ 百歌人 のなかの 六歌仙、三十六歌仙



■小倉百人一首が より一層 おもしろくなる ミニ知識

1.小倉百人一首の時代背景・歴史背景、 藤原家系&冷泉家について

2.小倉百人一首 百歌人の 氏・家 系統 分類、 血統つながり
 (概略:多い順並び)
01. 藤原   34人 (筆頭、18番 藤原敏行朝臣)
02. 源    13人 (筆頭、14番 川原左大臣)
03. 皇族   10人 (筆頭、01番 天智天皇)
04. 大江    6人 (筆頭、23番 大江千里)
05. 清原    3人 (筆頭、36番 清原深養父)

06. 小野    2人 (筆頭、09番 小野小町)
07. 良岑    2人 (筆頭、12番 僧正遍昭)
08. 在原    2人 (筆頭、16番 中納言行平)
09. 文屋    2人 (筆頭、22番 文屋康秀)
10. 壬生    2人 (筆頭、30番 壬生忠岑)
11. 紀     2人 (筆頭、33番 紀友則)
12. 平     2人 (筆頭、40番 平兼盛)
13. 大中臣   2人 (筆頭、49番 大中臣能宣)

14. その他  18人 (筆頭、03番 柿本人麻呂)


[その他]グループの歌人は、
「百人一首歌人の中には 同族系統の人 は居ない」 と思われる歌人です。
 
posted by 百人一首散策人 at 00:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 百人一首を1日1首覚える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。カポックと申します。

とても素晴らしいブログですね。
海外ですが、子供が通う日本語学校で百人一首を習いはじめたので、こちらのブログに出逢うことができました。解説も楽しいし、時代背景、人間関係までいろいろと調べられていてとても興味深いです。いまではすっかり親のほうが百人一首にハマっています!こんなに詳しく書いて下さって本当に有難うございます!
百人一首を覚える60以降は書かれる予定はありますか? 

戦後日本の教育や歴史などなどにもとても興味があります。親子共々日本を離れて、日本が見えてきた感があります。またブログ拝見します。

それではお元気で。
Posted by カポック at 2012年08月01日 13:44
ながく、ほったらかしで済みません。最近になって、また書き始めようかなと思っています。お築きに成られましたら、コメント下さいませ。
Posted by 散策人(ブログぬし)です。 at 2013年03月27日 12:04
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