百人一首 朝ぼらけ・曉 のある歌

小倉百人一首に
「朝ぼらけ」    のある歌は、3首。
「暁(あかつき)」 のある歌は、1首。


【朝ぼらけ】
31 朝ぼらけ有明の月とみるまでに 吉野の里にふれる白雪       坂上是則
52 明けぬれば暮るるものとは知りながら なほ恨めしき朝ぼらけかな  藤原道信朝臣
64 朝ぼらけ宇治の川霧たえだえに あらはれわたる瀬々の網代木    権中納言定頼

【曉】
30 有明のつれなく見えし別れより ばかり憂きものはなし      壬生忠岑



「朝ぼらけ〜」 が第一句に高らかに登場する2首は分かりやすいのですが、
末尾の「〜朝ぼらけかな」は見落としがちでした。  (52番歌=歌人は藤原道信)
藤原道信 (wikipedia)


■31番  坂上是則
 朝ぼらけ有明の月とみるまでに 吉野の里にふれる白雪
 の「朝ぼらけ」は、奈良県吉野の朝ぼらけ。

■52番  藤原道信朝臣
 明けぬれば暮るるものとは知りながら なほ恨めしき朝ぼらけかな
 泊まったところは宮中かそれに近いところでしょうか。
 私の好きな、後朝(あとざね)の歌です。
 後朝の歌…現代的な言葉で言うと不倫の一夜が明けて よく朝帰りの歌? 
 この歌を今風に解釈すると、
 「もっと一緒にいたいけど、仕事もしないとねっ。デートも出来ないから〜」
 と言った感じになるでしょうか。

■64番  権中納言定頼
 朝ぼらけ宇治の川霧たえだえに あらはれわたる瀬々の網代木
 の「朝ぼらけ」は、京都府宇治市を流れる宇治川の朝ぼらけ。
 私は長い間、「瀬々の網代木」の響きに影響されて、
 大津から宇治市、淀、へと流れる「瀬田川」の、
 大津市辺りの風景をイメージしてしまってました。
 この歌は、平等院鳳凰堂のある宇治市あたりをイメージするのが良いのでしょうか…。

 宇治川も瀬田川も水源は琵琶湖で、同じ流れ(川)ですが、
 滋賀県を流れているときは瀬田川と呼ばれ、
 京都府を流れているときは宇治川と呼ばれ、そして
 大阪府を流れるときに、淀川となります。
 淀川は、京都市からの桂川・宇治市からの宇治川・奈良方面からの木津川
 この3つの川が「淀」という地域あたりで合流した川です。
 「淀」という地名は、そういう自然状況(河川状況)が由来なのでしょう。
 

 木津川に関係する歌が、27番 中納言兼輔の「みかの原わきて流るる…」です。
 27番 中納言兼輔は、57番 紫式部の ひぃおじいさん です。


 64番 定頼は、97番 定家と一字違いですが、血縁としてはかなり遠いです。
 ただ、定家の8代上の歌人、26番 貞信公(藤原忠平)でつながっています。
 
 64番 権中納言定頼(藤原定頼)は、55番 大納言公任の息子です。
 55番 大納言公任(藤原公任)は、26番 貞信公(藤原忠平)のひ孫です。

 瀬田川洗堰 は滋賀県大津市。 
 平等院  (wikipedia)
 10円銅貨の裏側の図柄は、平等院鳳凰堂。
 平等院は、京都府宇治市にある藤原氏ゆかりの寺院。
 平安時代後期・11世紀の建築、仏像、絵画、庭園などを今日に伝え、
 「古都京都の文化財」の一部として世界遺産に登録されている。


■30番 壬生忠岑
 私には、この歌は、52番歌とほとんど意味合いが同じように感じます。
 壬生忠岑は、41番 恋すてふ(こいすちょ〜)の歌人 壬生忠見 のお父さんです。


■まとめ
30 & 31 番歌は、「有明の(月)」 も加わって、「朝」が強調されてます。
30番は 有明(の月)+曉
31番は 朝ぼらけ+有明の月
52番も、明けぬれば+朝ぼらけ で「朝」を強調してますが、
    これは「朝の別れ」を惜しんで
    「早く夜になって、貴方と逢いたい」と強調してもいるのでしょう。


■夜明けへの蘊蓄(うんちく)
日本語の朝を迎えるまでの時刻の表現は微妙に細分化されています。
このあたりの微妙さというか繊細な日本語が、私は好きです。
雨や雪などに対する表現もそうです。
例えば、87番 寂蓮法師に「村雨(むらさめ)の〜」もあります。
京都の嵐山は、時雨(しぐれ)がよく降ると言われています。
霧雨(きりさめ)細雪(ささめゆき)なんて言う表現もあります。

夜明けへのプロセスは次のようになります。
暁(あかつき) → 東雲(しののめ) → 曙(あけぼの) → 朝ぼらけ → 朝 。
百人一首には、 東雲 と 曙(元横綱、現ボノ?) は出てきません。 (@Д@; アセアセ・・・  m(__)m

○、暁     ⇒  夜明け前のまだ暗い頃
×、東雲    ⇒  暁からすこし明け方に近づきながらも、まだ明けやらぬ頃
×、曙     ⇒  東雲からようやく空が明るんできた頃
○、朝ぼらけ  ⇒  曙よりさらに明るくなった頃
○、朝     ⇒  朝



■平等院鳳凰堂   Google Map



posted by 百人一首散策人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 同じ語句、共通点 のある歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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