百人一首 涙でびしょぬれシリーズ

小倉百人一首の百首から「涙でびしょぬれ」シリーズを集めました。
結果としては次の6首です。

42 契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山浪越さじとは       清原元輔
53 なげきつつひとりぬる夜の明くるまは いかに久しきものとかは知る  右大将道綱母
65 恨みわびほさぬ袖だにあるものを 恋にくちなむ名こそ惜しけれ    相模
72 音に聞く高師の浜のあだ波は かけじや袖の濡れもこそすれ      祐子内親王家紀伊
90 見せばやな雄島のあまの袖だにも 濡れにぞ濡れし色はかはらず    慇富門院大輔
92 わが袖は潮干に見えぬ沖の石の 人こそ知らね乾くまもなし      二条院讃岐


涙でびしょぬれと言っても、
結果として「涙」という文字が出てくる2首は残っていません。
「涙」が出てくる2首は、ともに男性(僧侶)です。これは意外でした。

このシリーズを集めるのに注目したキーワードは次の4語です。
袖・涙・濡・なげき。 それをリストアップすると次の11首になります。

【袖】
42 契りきなかたみにをしぼりつつ 末の松山浪越さじとは        清原元輔
65 恨みわびほさぬだにあるものを 恋にくちなむ名こそ惜しけれ     相模
72 音に聞く高師の浜のあだ波は かけじやの濡れもこそすれ      祐子内親王家紀伊
90 見せばやな雄島のあまのだにも 濡れにぞ濡れし色はかはらず    慇富門院大輔
92 わがは潮干に見えぬ沖の石の 人こそ知らね乾くまもなし      二条院讃岐
95 おほけなく憂き世の民におほふかな わが立つ杣にすみぞめの    前大僧正慈円

【涙】
82 思ひわびさても命はあるものを 憂きにたへぬはなりけり      道因法師
86 なげけとて月やはものを思はするかこち顔なるわがかな       西行法師

【濡】
72 音に聞く高師の浜のあだ波は かけじや袖の濡れもこそすれ      祐子内親王家紀伊
90 見せばやな雄島のあまの袖だにも 濡れにぞ濡れし色はかはらず    慇富門院大輔

【なげき】
53 なげきつつひとりぬる夜の明くるまは いかに久しきものとかは知る  右大将道綱母


この中で、
【袖】の95番、前大僧正慈円。
【涙】の82番、道因法師。
【涙】の86番、西行法師(出家前は北面武士:佐藤義清)。
は「涙でびしょぬれ」という雰囲気の歌では無さそうです。
そして、
72番 祐子内親王家紀伊
90番 慇富門院大輔
が重複してますので、冒頭の6首となります。
「涙でびしょぬれ」シリーズと言っても
キーワードは ではなく、実は だったと言うのが面白いです。

また全て、恋心にからむ歌です。
そしてなんと、この6首中5首が女性の歌です。 
う〜〜ん、なるほどぉ〜。

ここで少し遊んでみます。
「涙でびしょぬれ」 シリーズ大賞を選んでみます。
シリーズ大賞は…、
90 見せばやな雄島のあまのだにも 濡れに濡れし色はかはらず    慇富門院大輔

と勝手に認定いたしました〜。  v(=∩_∩=) ブイブイ!!

この歌、下の句で、
「濡れにぞ濡れし…」 と 「濡」 という字が、立て続けに出てきます。 w(゚ー゚;)wワオッ!!

実はこの歌、私が秘かに百首中で一番セクシーな歌と感じてる歌なんです。 
なぜなんでしょうか〜…。

まず歌人の名前の響きがセクシーです。
慇富門院大輔 ⇒ いんぶもんいんのたいふ ⇒ ○部○○の大婦   (@Д@; アセアセ・・・
そして、追い打ちとして歌が…、
「見せばやなぁ〜…」!
もうここで、私としては絶句です。  (`□´)コラッ!


ちなみに、絞り込んだ6首の内、男性一人で孤軍奮闘している お方は…、
42番 清原元輔(きよはらのもとすけ、908年〜990年、差82年)さんです。
平安時代(794年〜1192年)中期の代表的歌人。

清原系は、百人一首に次の3人がいます。
36番 清原深養父                「夏の夜は〜
42番 清原元輔 (深養父の孫)         「契りきな〜
62番 清少納言 (深養父のひ孫・元輔の娘)   「夜をこめて〜

面白いですね。
清少納言の[お父さん]と[ひぃお爺さん]が居るんですね。

清少納言とよく対比される紫式部も、続柄に関してよく似た状況があります。
27番 中納言兼輔(藤原兼輔)          「みかの原〜
57番 紫式部  (兼輔のひ孫)         「めぐりあひて〜
58番 大弐三位 (兼輔のやしゃご・紫式部の娘) 「有馬山〜


続柄(つづきがら) (wikipedia)


■慇富門院大輔 の話題のおくちなおし。
「○○院の△△」 と言う名前は百人一首の中に、4名います。
皇后や中宮につかえた女性を指しますので、この4名は全て女性です。

80番 待賢門院堀河    「長からむ〜
88番 皇嘉門院別当    「難波江の〜
90番 慇富門院大輔    「見せばやな〜
92番 二条院讃岐     「わが袖は〜


「○○院」 は、天皇の皇后や中宮レベルの女性の呼び方です(≒その女性の暮らしている屋敷)。
そのあとの「△△」は、その呼称の女性の、ご主人か父親か身内の近しい男性の
職業・職位のたぐいの呼称や名称を示すのでしょう。
ですので、「○○院の△△」さん は、
例えば、「中宮の○○院さん」に女房として仕えている「△△さんの奥さん」、
と言ったような感じのネーミングです。

関連記事 … 「女性の歌」
門院号 (wikipedia)
posted by 百人一首散策人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 同じ語句、共通点 のある歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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