歌の意味解釈 26〜30番

26 小倉山峰のもみぢ葉こころあらば 今ひとたびのみゆき待たなむ  貞信公
27 みかの原わきて流るるいづみ川 いつみきとてか恋しかるらむ   中納言兼輔
28 山里は冬ぞさびしさまさりける 人目も草もかれぬと思へば    源宗千朝臣
29 心あてに折らばや折らむはつ霜の 置きまどはせる白菊の花    凡河内躬恒
30 有明のつれなく見えし別れより 暁ばかり憂きものはなし     壬生忠岑




■26 貞信公(ていしんこう、880〜949)
藤原忠平(ふじわらのただひら)。関白藤原基経(もとつね)の四男。
兄 時平(ときひら)の死により氏長者となって政権を握る。
藤原氏全盛の基を築いた。 貞信公は諡号(しごう・おくりな)。
45 謙徳公(藤原伊尹・これただ)は、貞信公(藤原忠平)の孫
50 藤原義孝(謙徳公の子)
51 藤原実方・ 52 藤原道信・ 55 大納言公任(藤原公任) の4人は、貞信公のひ孫
定家は、貞信公の8代下の人
百人一首の中には これらの人を含め、貞信公の血統として 20人います(家系図)

小倉山峰のもみぢ葉こころあらば 今ひとたびのみゆき待たなむ

小倉山の峰のもみじの葉よ。あぁ〜あなたにもし心があるならば、
もう一度、天皇のお出まし(行幸)があるまで、
どうか散らずに、そのままで待っていておくれ。

みゆき…天皇などのお出かけを言う。
天皇には「行幸」、 上皇・法皇には「御幸」の字をあてる。



■27 中納言兼輔(ちゅうなごんかねすけ、877〜933)
藤原兼輔。 57番 紫式部の曾祖父(3代上)。 58番 大弐三位の4代上(紫式部は大弐三位の母)。
加茂川の堤に邸宅を造営。
多くの歌人との交流があり、紀貫之らと親交があった。
平安時代の和歌の世界で活躍。

みかの原わきて流るるいづみ川 いつみきとてか恋しかるらむ

みかの原を分けるようにして、湧き出でて流れる、いづみ川ではないけれど、
いつ見たためだろうか〜?
いつ会ったためだろうか〜?
いや、本当は、会ったこともないのに、どうしてこんなに恋しいのだろう〜……

わきて…「分きて」と「湧きて」の掛詞。「いずみ(泉)」の縁語。
いつみきとてか…いつ、見たからと言ってか。いつ、会ったからと言ってか。



■28 源宗千朝臣(みなもとのむねゆきあそん、?〜939)
15番 光孝天皇(=第58代天皇、在位884〜887)の孫。
官位は低く、不遇な逸話が『大和物語り』にある。
三十六歌仙のひとり。

山里は冬ぞさびしさまさりける 人目も草もかれぬと思へば

山中の里は、いつの季節でも寂しいけれど、
冬には、その寂しさが、いっそう身にしみて感じられます。
人の行き来も絶えてしまい、草木もすっかり枯れ果ててしまうかと、思うと…。

かれぬ…「離れぬ」と「枯れぬ」の掛詞。
「人目も離れ(人が来なくなる)、草も枯れ」の意味。



■29 凡河内躬恒(おうしこうちのみつね、9世紀後半〜10世紀初頭)
紀貫之らと『古今集』の撰者に任ぜられた。
淡路権掾(あわじごんのじょう)などを歴任した下級官人。
三十六歌仙のひとり。
権掾(ごんのじょう) ⇒ 今で言う「知事」?  ご参考)国司官位相当表

心あてに折らばや折らむはつ霜の 置きまどはせる白菊の花

あてずっぽうで折るなら折ってみようかなぁ〜…。
初霜が降りたため、庭一面が真っ白になって、
どれが花やら霜やら、見分けがつかなくなってしまっている、白菊の花を。

菊の花について:
桜や梅と並んで菊も、日本を代表する花。
着物や様々な道具類の文様にも沢山使われている。
また、菊の花にたまった露を飲んだり、露で湿らせた綿で顔を拭うと、
不老長寿が得られるとも考えられていた。
しかし菊は、奈良時代に中国から渡来した植物で、『万葉集』に菊の花は登場しない。



■30 壬生忠岑(みぶのただみね、9世紀末〜10世紀前半)
官位は低かったが、『古今集』の撰者に任ぜられ、歌人として活躍した。
三十六歌仙のひとり。

有明のつれなく見えし別れより 暁ばかり憂きものはなし

明け方の月が冷ややかに、そっけなく空に残っていたように、
あなたが冷たく見えたあの別れ以来、
夜明けほどつらく思えるものはありません。

ありあけ…有明の月。夜が明ける頃に見えている月。
 満月やそれを少し過ぎた月は、明け方西よりの空に 「有明の月」となる
 左半月やそれに近い月は、明け方南よりor天上付近に 「有明の月」となる
 晦日月やそれに近い月は、明け方東よりの空に 「有明の月」となる
つれなく…そっけない。冷淡。
posted by 百人一首散策人 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 小倉百人一首 意味・解釈 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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